趣味のきもの 竹うち:加賀友禅・牛首紬・印傳

今時の礼装シーン

ライフスタイルがカジュアル化している洋装中心の現代では
和の礼装に関しても、かつての決まり事が当てはまりにくくなっています。
結婚式や披露宴、入卒等でも従来のような装いでは浮いてしまうような場合もあります。
とはいえ、冠婚葬祭の決まり事はいまだに地方差があり、土地のルールが優先されています。
石川・富山の礼装へ
儀式やお茶会の礼装は自分のためでなく人のための装いで、場やしきたりに合わせた格の装いが必要です。

着物のフォーマルには「正礼装(第一礼装)」と「準礼装」「略礼装」があります。
着物の格は紋の数だけで決まるものではありません。
訪問着や付下げに紋を入れない人も増えていますが、
茶道や日本舞踊等の伝統的な習い事の世界では今だに紋入りの着物の需要が多いです。

振 袖


昭和30年代頃までは振袖は中振袖が主流で、今のように3尺もある袖は大振袖と言われ、
ほとんどが2尺5寸の袖丈が中心だったように覚えています。

本振袖「正礼装」

本振袖は未婚者の慶事正礼装で、袖の長さもくるぶしまである格調高い、絵羽模様の着物です。
婚式や披露宴での花嫁の衣装として、正式な儀式で着用されていました。
染め日向五ツ紋で下襲をつけたものが正式とされていました。
最近では仕立て面でも下襲でなく、比翼仕立てが多く、
現在では上記の目的で本振袖を誂える方は少なくなっています。


振 袖

現在一般に流通している振袖は昔「中振袖」と呼ばれていた振袖の袖丈が、
昭和30年代頃に一斉に「本振袖」の長さになった、
仕立て方も着方も中振袖仕様の振袖です。

今日の一般的な振袖は、本振袖のように下襲や比翼をつけた仕立てをしません。
柄付けも総模様に近いものが増え、紋の有無は重要視されないようで、省略することが多くなりました。
紋を入れる場合には、染め抜き紋だけでなく、振袖の雰囲気に合った縫い紋や加賀紋なども用いられます。
今日の一般的な振袖も紋がなくても未婚女性の第一礼装という認識に変化はありません。


黒留袖「第一礼装(正礼装)」


黒留袖は既婚者の慶事正礼装です。
結婚式では主に新郎新婦の母・仲人・親族が着用します。
染め抜き日向五ツ紋をつけ、下襲もしくは比翼仕立てをすることがきまりになっています。

✽下襲(したがさね)とは、着物と同じ形の着物を下にもう一枚着用することをいいますが、
最近では省略され、衿、袖口、振り、裾に別布をつけ2枚重ねて着ているように見せる比翼仕立てをします。

色留袖「準礼装・第一礼装(正礼装)」


地色が黒以外の留袖で、既婚、未婚を問わず着ることが出来ます。
親族の披露宴や叙勲の授賞式など、既婚者の礼装としてふさわしい装いになります。

染め抜き日向五ツ紋をつけ、下襲(比翼仕立て)をすれば
黒留袖と同格の正礼装になります。

色留袖に下襲(比翼仕立て)を省略し、染め抜き日向紋の三ツ紋を入れると
格の高い印象の準礼装となります。

パーティーや披露宴などで訪問着では少々派手に感じたり、
控えめにという場合に一ツ紋をいれ訪問着感覚で用いることもあります。

当店では染め抜き日向三ツ紋の訪問着仕立てで、
白の伊達衿を入れての着用をお薦めしています。


喪服「第一礼装(正礼装)」


喪服は喪に服す人(遺族iや親族)の衣装です。ミス、ミセスの区別はありません。
喪服は黒無地で、以前は関東では羽二重、関西では縮緬が好まれ、
染め日向五ツ紋を入れて着用します。
今日では関東、関西の区別なく縮緬がほとんどです。

本来は白のお下着をつけていました(下襲)が、現在ではつけなくなっています。
小物は、長襦袢と半衿、足袋以外はすべて黒とします。

喪服選びのポイントは、生地の良し悪しと色です。
生地はシボの高い品のほうが黒く見えますが、スレがおこりやすい商品もあります。
また色は黒いことに超したことはないのですが、黒く見せるためにいろいろな加工を必要以上にほどこしたものもあります。
そのような品には将来的なトラブルを心配する声もあります。


✽喪服の下襲(したがさね)を省略することや、袋帯を締めなくなった理由を「(不幸を)重ねるのを嫌ったから」と言うご意見を散見することがありますがそれらは俗説で、本来黒紋付きは染め日向五ツ紋に下襲、袋帯を締めるのが正式でした。

訪問着と付下げ

30年くらい前までは留袖に次ぐ礼装用着物としては、訪問着が全盛で、豪華な柄付けの訪問着にも一ツ紋や三ツ紋を入れて、親戚友人の披露宴にも家庭内の通過儀礼である初参り、七五三、入卒の付き添いにも「大は小を兼ねる」とばかりに訪問着一辺倒の時期もありました。
その後ライフスタイルの変化や儀式の簡素化の影響もあり、訪問着では大仰になりすぎるシーンも増えて、訪問着、付下げ訪問着、付下げなどを使い分けてお召しになるお客様が増えています。

付下げと訪問着は、「品格のある色柄」であれば、どちらも「略礼装」として着ることが可能です。
紋を入れなくても略礼装になりますが、紋を入れてより礼装を明確にする場合もあります。
訪問着や付下げに紋を入れない人が増えていますが、
茶道や日本舞踊等の伝統的な習い事の世界では今だに紋入りの着物の需要が多いです。

訪問着「準礼装」


訪問着は、留袖や振袖の次に格の高い準礼装の着物として、未婚、既婚の区別なく、
結婚式、表彰式、パーティ、お茶会、お見合いなど幅広く着用でき、便利な着物の一つです。
訪問着は、絵羽といって縫い目で模様が切れないような模様付けがされていて、
そのため反物のように巻物でなく、仮絵羽(かりえば)の状態で呉服屋さんなどに並んでいます。

留袖に次ぐ礼装の着物として、以前は三ツ紋や一ツ紋をいれていましたが、
最近では柄が豪華なものが多くなり、背縫いや外袖の紋を入れる場所に柄が掛かっていることも多く、
無理に紋を入れると煩雑な印象になり、柄のバランスも悪くなるので入れないことが多くなりました。

お茶でも訪問着に三ツ紋を入れるのは、教授者クラスの人達の正式な茶事や皇族・家元の参加する茶会等限られます。

付下げ「略礼装」


付下げの出自は、肩山に向かって上向きになるよう模様つけされた小紋(付下げ小紋)で、
もともとは、裁ち目で柄が繋がらない柄行でした。


戦時中には禁制品となった訪問着の代用として用いられ、
戦後は訪問着より軽い礼装として定着しました。



「品格のある色柄」であれば、略礼装として着ることが可能です。
紋をいれなくても略礼装になりますが、紋をいれてより礼装を明確にすることもあります。

付下げ訪問着

最近の「付下げ訪問着」の中には、同色や同系色の八掛を付けて仕立てあげると、
訪問着と区別のつきにくいものもあり、値段は訪問着より安価で人気があります。
着用シーンも訪問着と変わりませんが、格式あるお席には訪問着をおすすめします。


加賀繍い 付下げ

同色系の繍い糸でスガ繍いを施した無地感覚の加賀繍い付下げも取り扱っています。

色無地「略礼装」「準礼装」

黒以外の無地の着物で、通常一ツ紋を入れて略礼装として着ることが多い着物です。
一ツ紋を入れておくことによってちょっとしたご挨拶などにも着ていくことができとても重宝します。
紋の数、合わせる帯などによって格が異なります。

普段はあまり見かけませんが準礼装として用いる場合には、
無地かや細かな地紋で格のあるものに三ツ紋を入れます。

誂え染め色無地四丈
四丈の濱ブランド縮緬を加賀友禅作家が厳選した色見本のお色に別染め致します。
大きな色見本地でお顔映りをご確認いただけます。

無地替わり「紋を入れれば略礼装」

江戸小紋「略礼装」
江戸小紋三役
江戸小紋の模様の中でも「鮫」、「行儀」、「通し」は江戸小紋を代表する文様で「江戸小紋三役」と呼ばれています。 中でも「極」と名のつくものは、3㎝四方に900個以上の穴があけられており、大変細かい文様で最も「格」が高いものとされています。

江戸小紋五役
「江戸小紋三役」に「大小あられ」と万筋などの「縞」文様を加えた5種類の文様は「江戸小紋五役」と呼ばれています。 三役についで格のある文様です。

江戸小紋三役五役は「紋」を入れれば略礼装として結婚披露宴や入学式、卒業式、
お茶席などに広くご着用頂けます。 
 染め抜き日向紋だけでなく、陰紋や縫い紋なども多く使われます。
✽江戸小紋で紋を入れられるのは「三役まで」や「五役まで」とされるメーカーさんがございます。

蒔蝋小紋(蝋吹雪・蝋タタキ)

松井清々
松井佚鴦