趣味のきもの 竹うち:加賀友禅・牛首紬・印傳

当店では織りのお出かけ着として西陣御召・牛首紬・大島紬・久米島紬・結城(紬、縮)をお薦めしています。

牛首紬


牛首紬は三大紬の一つで石川県白峰地方で織られる紬です。
経糸は生糸、緯糸は「座繰り」による玉糸で織られています。
糸に空気を含ませる独自な糸の処理で綸子のような柔らかな着心地でありながら、
釘抜き紬の別名が残るほど強い織物です。

三大紬。本場結城紬と本場大島紬は確定ですが、もう一つは上田紬、牛首紬など諸説あります。

牛首紬の特徴
・座繰りで手挽きした空気を多く含んだ柔らかな糸、
・丁寧に織り上げる打ち込みのしっかりした張りのある地風、
・そこから生まれる弾力性及び伸張性によるシワに対する抵抗力、
・玉繭独特の小節が浮き立つ表面の美しさ、
・紬織物と絹織物の両面を秘めた織り味と光沢、
・糊もたせをしないため優れた保温、吸湿、通気性、
・軽くてなじみよい着やすさ、等があげられます。
元々は先染めの紬でしたが、昭和になって友禅の染紬としてヒットしました。

現在、牛首紬は、「白山工房(西山産業)」と「加藤機業場」の二社のみで製造されています。
おもに白紬と縞紬がありますが、大半が白紬です。白紬は染めの生地として使われます。
「加藤機業場」の牛首紬は年間生産量約200反と言われ、全て白紬(後染め用白生地)です。
「白山工房(西山産業)」の牛首紬は年間生産量約2,000反と言われ、先染め、後染めのどちらも作られています。

【column】白山紬
白山紬(はくさんつむぎ)は、もともとは石川県白峰村(しらみねむら)で織られていた紬で、
現在の牛首紬とルーツは同じと思われますが、金沢市近郊で織元独自の登録商標として発展してきました。
牛首紬が手引き糸から織られるのに対し、白山紬は機械製糸の糸を力織機を使って織られてきました。
当店が創業した当時には、白山紬の風呂敷、付下げ等が多く売れていました。

牛首紬のキモ

☚石川県牛首紬生産振興協同組合のHP

2匹の蚕が共同で一個の繭にしたものを「玉繭」と言います。
玉繭は養蚕の途中で2~3%の割合で必ず出るものです

牛首紬にとって最も重要な工程、
それは玉繭から玉糸を挽き出す「のべ引き」です
玉糸作業は、玉繭から出る2本の糸が複雑に絡み合っているため、
糸作りが難しく職人の経験とカンにたよらねばなりません。
しかしながら、この難しい作業によって挽き出された玉糸は、弾力性・伸張性に優れ、
牛首紬の風合いの根本となっています。

撚糸、精練、その後「糸はたき」という作業で糸に空気を含ませます。
糸に空気が含まれることによって、しなやかで丈夫な糸になります。

西山産業と加藤機業場

近代化や先染めや草木染など新しい牛首紬にチャレンジしている西山産業。
☚西山産業のHP
西山産業の製品は釘抜き紬らしい堅牢でサラリとした風合いです。

玉糸機(たまいとばた):広幅(140cm)の牛首紬生地の制作
高機は織工による打ち込み動作のタイミングや力加減のずれが生じやすく、品質が安定しにくいという課題がありました。玉糸機は、高機にある「手織り」の良さと、力織機が持っている品質の安定性を兼ね備え、手機の欠点を補えるように独自に工夫した引杼使用の力織機です。
熟練の手織りの風合いが完全に再現できる工夫とともに、不良玉糸の除去作業がしやすいように改良を加えてあります。
製織作業に当たっては、職人がそれぞれ一人一台を受け持ち、不良糸を織込まないようにチェックする「熟練した職人の目と手技」が欠かせません。ただ単に効率を求めて機械化するのではないのです。(西山産業のHPを参考にしました)

当店では玉糸機の着尺はまだ扱いがないので、詳しくは解りません。
帯を見る機会があったのですが、帯だからかちょっと薄くない?
ってのが第一印象でした。
しばらくは手織りの品を扱い続け,
品質の違いが見極められればと考えています。

昔ながらの手作りにこだわっている加藤機業場。
☚加藤機業場のHP
加藤機業場の製品はその稀少性と物語性が相俟って人気です。
加藤機業場の製品は紬らしくふんわりし、玉繭による節(ネップ)も多めに感じます。

✽「西山産業(白山工房)」の製品と「加藤機業場」の製品を較べてみると、「加藤機業場」の製品は玉繭の節が多めです。触った感じも少し地厚でふんわりした感じです。

どちらの製品がお薦めかと訊かれても、ネットでは「お好きずき」とお答えするしかありません。

雨や雪に強い牛首紬

牛首紬は、綸子のような柔らかな着心地と言われながら一方で釘抜き紬とも呼ばれる強い紬でもあります。


北陸は雪や雨の日が多い土地で雨や雪の日のお出かけにはそれなりの用意が必要です。
土砂降りの雨や、湿った雪が長時間布に付いても牛首紬は縮みも色落ちもなく北陸の人にとって心強い味方です。

先染めと後染め

先染め(白山工房)

牛首紬を商品ではなく、自分たちの普段着として織っていた頃は、全て先染めだったようですが、
現在では一部男物の無地や、鰹縞など縞柄を先染めで織っている以外全て後染めです。
先染めのものは、後染めのものよりも生地がしっかりしています。

後染め (白山工房・加藤機業場)

釘抜き紬と呼ばれるほど丈夫にも係わらず、綸子のようなしなやかさ、柔らかさがあります。

通常白生地は染色されると織物の産地名が無くなり、染色者のラベルに張り替えられるのが普通ですが、
牛首紬の白生地は加賀友禅や京友禅等、いろいろな染め技術を施しても、
著名な作家が染色しても牛首紬の名称で売られています。

後染め牛首紬ではシケ引き小紋や染匠・市川純一郎氏の作品などが着やすくてお薦めです。