加賀友禅・牛首紬・印傳
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汚れとは異物が生地の表面に付着した状態をいいます。
シミ(染み)は、「汚れ」が、空気中の化学物質や紫外線、人体の皮脂や垢などの影響で、
クリーニングでは落ちないくらい繊維と結合したものを言います。
汚れがシミになる前に、しっかりと汚れを落としておきましょう。

「シミ」と一括りに言いますが、油性のシミ、水性のシミ、生地自体が変色したシミ、脱色等があります。

その成分、原因を判断し、それぞれにあったシミ抜き剤を使わなければシミは落ちません。
経験的には、皮脂汚れなどは半年位もしたら変色しはじめるようです。
また紫外線や、シミの進行により、衣類の染色を壊す脱色もあります。
化学変化をおこしたものの地直しは、(変色の場合は漂白加工で薄くしたりしてから)
染料を使った手描きの補正技術を駆使してプロの総合力で直します。

✽染色補正師
我々が「シミ抜き屋さん」と呼んでいる染色補正師は、シミを抜くだけでは直らない変色や退色、脱色した衣類を高度な色補正(地直し)で、 限りなく元に近い状態に戻す衣類の修復の専門家です。


当店の場合シミ抜きは、直接職人さんに持ち込むのですが、よくシミ抜の代金は「やってみないとわからない。」と言われます。
お願いする側からは不安に感じるところかもしれませんが、納得も出来ます。
『シミ抜きの料金は、ひとつのシミがいくらという基準ではなく、そのシミを落とすのに必要な技術と所要時間によって決まります。
たとえば、広範囲なシミでも原因が単純なもので、一種類であれば驚くほど安いこともありますが、古かったり、何種類かのシミがある場合なら一箇所づつ原因を見極めて、シミの原因によって薬剤を変えて試しながらシミ抜きをしなければならないので時間もかかり、高くつくことがあります。』
✽広範囲過ぎたり、古すぎる変色の場合には作業をお引き受けできないこともあります。

黄変直し


黄変の原因
脇の下や襟まわりが黄変している原因は「汗」や「脂肪」と考えられます。
汗や脂肪は、元々の色はそれほど黄色くないのですが、空気中の酸素により酸化されて次第に黄変します。

胴裏の場合
全体的にうっすら黄ばんでいる状態
絹の白さは、漂白(精練)して強制的に白くしている状態なので、時間の経過と共に、空気中の酸素と結合して、絹の元の黄色みを帯びた色に戻っていこうとします。(酸化黄変)

斑点のような黄変が所々発生している状態
シミのような状態で、斑点のように胴裏にシミが発生している場合、原因はカビである可能性が非常に高いです。

全体的に濃い黄色もしくは茶色に変色している状態
現在は少なくなりましたが、胴裏の生地の中には目方を重くするために増量剤という一種の糊を含ませているものがあり、増量剤自体が激しく酸化黄変を起こし、生地自体も変色させてしまいます。
この変色は、かなりの確率で表地に悪影響を与えます。出来るだけ早く胴裏の交換をお薦めします。
変色が裏地で留まっている間は生地の交換で解決しますが、表地に影響を及ぼした場合、状態によっては元に戻せないこともあります。

いったん黄変してしまうと、漂白してその後色をかけるという手間のかかる作業が必要になります。

カビ取り


カビは長期間放置しますと絹の蛋白質を変質させて生地をだめにします。カビを見つけたら早急にカビ取りにお出しください。
カビは乾燥させてブラシなどで落とすことはできてもカビの胞子が残りますので、また生えます。
またカビは丸洗いでは落とせません。丸洗いしても、カビの菌は残ってしまうためカビを叩きだす作業が必要です。

◎とにかく仕舞いっぱなしはカビの原因です。たまにお召しになるなり、湿気の少ない日にタンスから出して点検してみるなど、新しい空気に触れさせて乾燥を心がけ、防カビ剤などの取り替えをすることも大切です。

カビ取りが済んだ着物や帯は元の文庫紙(関東では畳紙)に戻さず、新しい文庫紙と取り替えて下さい。

洗い張り


生活着として頻繁に着物を着ていた時代、(着る頻度にもよりますが)1年から3年に一度くらい
各家庭では着物をいったんほどいて水洗いした後、針の付いた竹ひご(伸子)や張り板にピンと張り、
糊付けしてシワを伸ばしながら乾かす「洗い張り」という方法で着物を洗っていました。
絹物は、水洗いするたびに生き返り、元のハリと光沢を取り戻し、染めた色も鮮やかに戻ってくる素材です。
絹物は昔から高価でしたが、こうして何度も息を吹き返しながら、丁寧に永く使われてきました。


洗い張りの工程の一例
1.洗い張りをする着物が、色が出ないか、生地が丈夫かなどを確認します。
2.仕上がっている着物の縫い目をすべてほどきます。
3.解いた着物を縫い合わせ、反物の状態に戻します(端縫い )。胴裏、八掛も同様に反物の状態に戻します。
4.たわしと洗剤で水洗いします。
5.水ですすぎ、脱水します。
6.洗い終わった反物を伸子張りします。
7.伸子を張った反物に、刷毛で糊を引きます(糊入れ)。生地によって糊の種類や糊の濃さを調整します。
8.反物を乾かします。
9.縮緬などシボのあるものは、水洗いをすると生地がかなり縮むため、湯のし機で反物に蒸気を当てながら両側から引っ張り、縮んだ生地を伸ばします。
10.丸巻きや平だたみの状態でお客様に返します。