加賀友禅・牛首紬・印傳
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メンテナンス


一度着た着物には、着用した時の汗が多く含まれています。
汗に含まれる皮脂や水分はカビ菌が最も好みます。
きちんと汗を飛ばさずに着物をしまうと、保管中にカビ菌が繁殖しやすくなります。

脱いだ着物を和装ハンガーにかけ、日光が直接入らず、風が通るところに2、3時間程度陰干しします。
汗をたくさんかいた場合には、半日程度陰干して汗を飛ばしてから、畳んでタンスにしまって下さい。
シーズンが終わった着物やめったに着ない着物は、汗抜き、クリーニングやシミ抜きをしてからしまって下さい。

カビ対策

着物の保管で一番のトラブルは虫害ではなく、カビの被害です。
絹の着物は「湿気や水分」に注意していれば、多くのトラブルを回避できます。

畳紙(文庫紙)で使用している糊もカビや虫を誘発する可能性があります。
畳紙が所々黄色に変色していたら、カビです。
そのまま放置して置くと、そのカビが着物に移ります。
新しい畳紙(文庫紙)に取り替えて下さい。

クリーニングしないでしまうと、衿や袖口に付いた汚れなどに虫が付くことがあります。
虫は好んでは絹物を食べませんが、綿や麻、ウールなどは虫の大好物です。
絹物と一緒に保管してあれば、虫は間違って絹物も食べてしまいます。

長い期間着る予定のない着物はクリーニングや、パールトーンのアフターケアに出してキレイにしてから
「きものキーパー(保管期間5年)に入れて保存して下さい。
箪笥で保管する場合には防カビ、防虫効果のある【顆粒 備長炭快適シート】や着物保存剤「そうび」を一緒に引き出しに入れて保管して下さい。

脱いだあと、タンスに片付ける前に

日々着たあとは着物用ハンガーに掛けて体から出た湿気を除きます。
・柔らかいブラシや乾いたタオルでホコリを払います。
・衿や袖口、裾の汚れを中心にチェックします。
・ゆかた等の太物は、シーズンオフに「水洗い」をお薦めします。

虫干し

現代の家屋や収納家具は気密性が高く湿気がこもりやすくなっています。
特別に『虫干し』 等と構えなくても、年に数回2、3日晴れが続いた日の、午前10時頃から午後2時頃までに箪笥の前に扇風機を置いて引き出しを開き、扇風機の風を満遍なく送ります。
特に乾燥させたい着物や帯は何枚かずつ 着物ハンガーにかけて着用後の陰干しの要領で湿気を飛ばせば良いでしょう。

またこの機会に着物を点検し、しみやカビを見つけたらしみ抜きに出します。
カビが生えたり、湿った文庫紙(畳紙)は取り替えて下さい。
防虫・防カビ・調湿・防カビ臭の効果がある保存剤(そうび等)を必要に応じて入れ換えます。

要するに仕舞いっぱなしがいけないのです。
時々箪笥の引き出しや扉を開けて、乾いた新鮮な空気を
通すだけでも違うので是非お試し下さい。

丸洗い

丸洗いは着物を解かずにデリケートな着物の生地に適した特殊な溶剤でドライ専用の洗濯機を使い全体の汚れを落とします。
油性の汚れに強く、着物全体についた手垢・皮脂・ファンデーション・排気ガス、埃・塵等の汚れに効果的ですが、
汗や雨などの水性の汚れは落とす事ができません。汗を落とすには水洗いが必要です。
着用のたびに「丸洗い」と仰るお客様もいらっしゃいますが、頻繁な洗いは生地を傷める可能性もあります。普通はシミ抜きで対処すれば良いと思います。


「丸洗いをしてからしまったのに、シミができている」
丸洗いをしても汗の汚れは落とすことができません。
汗を落とすには水洗いが必要になります。汗をかいた着物は必ず汗抜きや水洗いをしてください。
カビは丸洗いでは落ちません。丸洗いしても、カビの菌は残ってしまうためカビを叩きだすシミ抜き作業が必要です。

汗抜き

水溶性の汚れ(汗・雨・尿等)は、丸洗い(揮発性クリーニング)では落ちません。汗は水で落とします。
✽汗の成分のほとんどは水分ですが、塩分蛋白質、アンモニア、脂質などからなっています。水分が蒸発すると、汗の成分が繊維に残り、汗ジミになってしまいます。
絹は塩分にとても弱く、黄色く変色してしまう時間も早く、半年くらいで黄変してしまいます。
✽蛋白質は、時間が経つと黄ばむのが特徴です。黄変する前であれば水を使って楽に落とせるのですが、いったん黄変してしまうと漂白して色をかけるという、手間のかかる作業が必要になります。
✽普通着物に汗が付着する部分は限られています。衿、袖口、両脇、帯下、ひざの裏部分などが主です。
「汗抜き」は、汗を吸い込んでいる部分部分に汗を落とす洗剤と霧状の水をかけ、汗に含まれる「塩分」「蛋白質」「乳酸」などを叩き出すプロの技術です。
生地が縮まないよう加減をしながら、これを繰り返します。
✽パールトーン加工してあっても汗抜き作業をせずにそのままにしてあると汗成分が絹を変色させてしまいます。
汗抜き併用丸洗い
汗抜きの他に全体の丸洗いも行います。
汗などの水性の汚れも、衿や袖口の皮脂などの油性の汚れも両方落とします
しばらく着用の予定がないお着物にお勧めします。